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「Et cetera」
-2017年6月~9月

くだらない嘘|大尉と准将

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 夜勤から帰ってきたリザは、リビングの惨状に目眩がした。
 昨日は司令部ですれ違うことしかできなかった男が、リビングの真ん中で眠っている。
 着ているものが下着ではなく、普通の服であったことからいろいろ予想がついてしまい、リザはため息をついた。
 今日は自分も彼も非番だ。
 それゆえのこの有様なんだろうが非常にムカつく。
 とにかくリビングは目に入らないように薄目で通り過ぎ、バスルームへと向かった。
 思ったとおりではあったが、洗濯機を回した形跡がない。
 洗濯は彼をバスルームに放り込んだあとにしようと、まずはリザがシャワーを浴びた。
 リビングに戻ると、寝返りをうったらしい彼が大の字で上向きに眠っていた。
 なんなら威嚇射撃でもして起こしてやってもいいが、この部屋は賃貸なので穴を開けるわけにはいかない。
 冷蔵庫を開け、夕飯用に準備していたはずの諸々を取りだして温めていると、男がもごもごと呻きながら起き上がった。
「おはようございます、准将。お目覚めですか?」
「・・・大尉?」
 彼は寝ぼけているのか、しばらく虚ろな目でぼんやりしていた。
 しかしそのうち目が覚めてきたのか、リビングを見回し、焦ったように立ち上がった。
「あー・・・、大尉。これはだな。・・・ハヤテ号だ!」
「・・・は?」
 その下手くそな言い訳に、リザは胡乱な目を向けた。
「ハヤテ号が散らかしたんだ!」
「・・・ハヤテ号では本棚から本が出せませんが?」
「・・・本棚から出したのは私だ。」
 さすがにそこは無理があると思ったのか、ロイは目をそらしてぼそぼそとそう言った。
「出した人が片付けてください。ところでどうして服のまま寝てたんですか?お風呂は?」
「・・・入った。」
「お風呂上がりはいつも下着でうろうろしている人がどうしてまた服を着たんですか?」
「・・・気分転換、かな?」
「夕飯に用意していたご飯がそのまま冷蔵庫に入っていますけど、昨日は何を召し上がったんですか?」
「えー・・・と、パスタだったかな?」
「ソースは何を?」
「・・・す・・・素パスタ?」
「は?」
「違う、大尉!」
 彼は両手でバンッ!とテーブルを叩いた。
「風呂も食事も片付けもちゃんとしようと思っていたんだ!」
「どうしてしなかったんですか?」
「ヒュ・・・ヒューズが!」
「・・・ヒューズ准将が?」
「私に金縛りをかけて、延々と耳元で家族自慢をしてたんだ!」
 リザはロイの尻を蹴っ飛ばした。
「亡くなった人をダシにするんじゃありません!」
「ごめんなさい。ついうっかり本に夢中になりました!」
「お風呂と片付けはともかく!ご飯は忘れないでください!っていつも言ってるでしょ!」
「はい!気をつけます!」
「朝ご飯はもうできますから!食べたらお風呂入って洗濯機回してください!」
「はい!わかりました!」
 下手な嘘を次々並べて、怒られてしょんぼりして。
 子どもですか!とつっこみたくもなるが、実はちょっとそれもかわいいと思ってしまった。
 本人には絶対言わないけれども。





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