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「Et cetera」
-2018年1月~6月

もてる男

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「なんっで、俺はモテないんっすかね?」
 仕事中に真面目な顔で不真面目なことを訊いてきた部下を、リザは呆れたように見た。
「ハボック少尉、モテねーの?なんで?」
 たまたま遊びに来ていたエドワードは、無邪気にそう訊いた。
「うるせー。」
「ハボック少尉、背も高いし顔も悪くないのにね。」
 たいして興味もなさそうに、リザはそう言った。
「口が悪りーんじゃねーの?」
 エドワードがからかうように言うと、ハボックは眉間にしわを寄せた。
「おまえに言われたくねーな。」
「何の話だ?」
 執務室から顔を出したロイは、そのまま応接のソファにどっかり腰を下ろした。
「大尉。これ、出しといてくれ。」
「承知しました。」
 リザはロイから書類の束を受け取った。
「あとコーヒーくれるか?ちょっと疲れた。」
「わかりました。しばらくお待ちください。」
 リザは軽く一礼して、書類を持ったまま部屋を出て行った。
「それで?なんの話だ?」
「ハボック少尉がモテねーって話。」
 遠慮もごまかしもない率直な言い様に、ハボックはエドワードを斜めに睨んだ。
「おまえだって女受けするタイプには見えねーぞ、エド。」
「俺は別に気にしねーよ。」
「鋼の。少しは気にした方がいいんじゃないか?あの美人の幼馴染みに捨てられたら、おまえ一生後悔するぞ。」
「うるせー。女たらしの准将に言われたくねーよ!」
 やたらつばを飛ばして反抗するエドワードに、ロイは苦笑した。
「まあ待てよ、エド。この人がモテるのは事実だ。」
 ハボックはエドワードを制すと、ロイの方に向き直った。
「なんで俺はモテないんっすかね?ご指南お願いできますか?」
「マメさがたらんのじゃないか?」
 さらりとそう言ったロイに、ハボックだけでなくエドワードも首を傾げた。
「いやー、そりゃ准将みたいにしょっちゅうプレゼント渡したりはしませんけど。」
「歯の浮くような口説き文句並べたりとか?」
「でもそういうのってあんたがやれば様になるかもしれませんけど。」
「ハボック少尉じゃかっこつかねーよな。」
「うるせー黙れエド。てめーだって似たようなもんじゃねーか。」
 口々に感想を述べる2人を見ながら、ロイはため息をついた。
「違う。そうじゃない。」
「何が?」
 ハボックとエドワードはそろってきょとんとした。
「お待たせしました。」
 そこへリザがコーヒーを持って戻ってきたので、話は一旦中断した。
「どうぞ、ハボック少尉。」
「あ、どうもっす。」
「エドワード君も。」
「ん、サンキュ、大尉。」
「どうぞ、准将。」
「ありがとう、大尉。」
 ロイはリザを見て微笑し、カップに口をつけた。
「おいしいよ、大尉。君の淹れてくれるコーヒーが1番おいしい。」
「恐れ入ります。」
「書類、出してきてくれた?」
「はい。」
「いつもすまないな。助かるよ。」
「仕事ですから。」
 リザは無表情のまま頷き、デスクに戻った。
「・・・こういうことだ。」
 前触れも何もなくロイがハボックとエドワードを見たので、2人ともぽかんとした。
「・・・は?」
「おまえら2人とも適当すぎだ。」
 そう言ってロイは2人をたしなめた。
「ハボック。おまえ、今大尉にありがとう、って言わなかったぞ。」
「へ?そうですか?」
 ハボックは驚いて目をしぱたいた。
「鋼の。」
「何?俺、お礼言ったよ。」
「感謝の言葉は相手の目を見て言うもんだ。」
 そう言ってロイは息をついた。
「相手がやって当然、なんて態度はモテんぞ。感謝は目を見て態度と言葉で、なんて基本中の基本だ。言わなくても分かるなんてのは論外だ。謝罪も一緒。そういう所が抜けてるんだ、おまえらは。」
 ロイの説教に、ハボックとエドワードは肩をすぼめた。

「・・・って、ヒューズ准将が言ってたんですよね。」
 顔もあげず、リザが口を挟んだ。

 一瞬沈黙が落ちた。

「ヒューズ准将の受け売りかよ!」
 エドワードはそう言って爆笑した。
「うるさい。受け売りだろうが何だろうが私はモテるぞ!」
 ロイはムキになって反論した。
「つまり准将がモテるのは、ヒューズ准将のおかげなんですね。」
 ハボックの指摘に、ロイは憤慨した。
「違う!」
「違うわよ、ハボック少尉。」
 冷静な声でリザが言った。
「ヒューズ准将はね、グレイシアさんを口説くためにアームストロング中佐に相談したんだって。だから、本当にモテるのはアームストロング中佐なのよ。」
「!?」
 意外な伏兵に、3人の男たちは意見も反論も忘れて呆然とした。






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