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「Et cetera」
-2018年6月~12月

彼女の長い1日|5

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 ウィルソン中将は、セントラルの某中佐を連想させるような家族自慢大好きな将軍だった。
「ほら、ホークアイ中尉見て。僕のひ孫。この前2人目が生まれてね。かわいいでしょ。こっちは上の子。赤ちゃんの時はさ、髪も少なくて男の子か女の子かわかんない感じだったけど2歳くらいからすっかりかわいくなってね。今はこのワンピースがお気に入りなんだよ。」
「いーねぇ、ひ孫。赤ちゃんとか小さい子とか本当にかわいいよね。」
「グラマンはさ、ホークアイ中尉の子ども抱かしてもらえばいいんじゃない?ホークアイ中尉、結婚の予定とかないの?」
 リザは引きつった笑顔で「今は仕事が忙しいので」とだけ言った。
「ウィルソンさ、そういうのセクハラって言うんだよ。若い女の子にうかつなこと言うと訴えられちゃうよ。」
「若い女の子のお尻大好きなグラマンに言われたくないな。君こそさ、いい年なんだからセクハラやめないと若い子に嫌われるよ。」
「ワシのはスキンシップ。愛情表現。みんなわかってるよ。」
「そう思ってるのは自分だけでしょ。嫌だね、スケベなじじいは。」
「自分だってついこないだまで同じようなことしてたくせに。」
 2人の老人のセクハラ批判を聞き流しながら、リザはお酒を一口飲んだ。
 正直に言うとリザは十分疲れていたし、これ以上この将軍2人に付き合うのも辟易としていた。
 せめておいしい食事でも食べれるなら、と思っていたのだが、酒豪の2人に連れてこられたのはお酒メインのバーだった。
 食べ物といえば最初に出されたチーズとナッツだけ。後は2人ともとにかくお酒ばかり飲んでいる。
 いい加減切り上げてもらえないかしら、とそっとグラマンを窺ってみたが、彼は真っ赤な顔で楽しそうにウィルソンの家族自慢に付き合っていた。
「ホークアイ中尉に子どもとかできたらさ、きっとかわいいよね。」
 ウィルソン将軍にそう振られて、リザは口にしていたお酒を噴きそうになった。
「は?・・・え?」
「そうだねえ。まあ、相手の男にもよるだろうけどさ。」
「変な男にひっかかっちゃだめだよ。今、誰かいる?」
「あ、いえ。その・・・別に。」
「ホークアイ中尉!君には折を見てワシがお見合いセッティングしてあげるから!それまでは仕事に精進しなさい!」
「はあ。お見合い?閣下、それは決定事項なんですか?」
「グラマン、当てがあるの?もう目星つけてる?」
「ん?マスタング君でいいんじゃない?」
 グラマンのセリフに、今度こそリザはむせた。
「閣下!マスタング大佐は私の上司ですよ!」
「なかなか見所あるいい男だと睨んどるよ、ワシ。」
「マスタング君か。いいじゃないか。若いのに結果をだしとるね、彼は。セントラルでも物怖じせずに発言するし、国家錬金術師だし。なかなか有望だよ。」
「あの・・・お言葉ですが。お見合い、ってことは結婚前提ですよね。直属部署では結婚できませんが。」
「だから折を見て、って言ってるでしょ。あ、今すぐ結婚したいって意味かな。そうだねえ。君がワシの下に来る?」
「僕の下でもいいよ。ホークアイ中尉は優秀だって、グラマンからよく聞いてるしね。」
「私がいないと大佐が仕事しないんですよ。結婚なんかできません。」
 リザはため息をついた。

 肩を組んで大騒ぎをする将軍2人をなんとかタクシーに押し込み、ホテルまで送っていってようやくリザは一息ついた。
 無駄に元気なこの老将軍たちは、さらにホテルのバーで飲み直す予定らしい。
「ホークアイ中尉、今日はありがとう。はい、お小遣い。」
「ホークアイ中尉、ワシもあげるよ。お小遣い。」
 そう言って押しつけられた1万センズが2枚手の中にあったが、それを喜ぶほどの精神的余裕もリザには残っていなかった。
 お酒ばかり飲まされ、ほとんど食事をとっていないことも疲労に拍車をかけていた。
「ご飯食べれるとこ、どっか開いてたっけ。」
 お金を財布に押し込み、とぼとぼと歩き出す。
「大佐、ご飯食べたかしら。」
 目に付いた公衆電話の前で、リザはふと足を止めた。
 けれども時計を確認して、再びリザは歩き始めた。
 もう時間が遅い。
 体調不良で寝ているところを起こしても申し訳ない。
 だからせめて様子だけでも見てこよう。
 顔だけ確認したら家に帰ろう。
 そう言い訳しながら、リザはマスタングの家に向かった。






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