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「22箇所にキスする2人」
-中尉と大佐~約束の日

脛(服従)

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 プライベートを共に過ごしていても、意識は互いに別の方を向いていることが多い。
 リザがシャワーを終えてリビングに戻ると、先に風呂をすませていたロイは下着姿でソファに座って、厚い錬金術書を読みふけっていた。
 リザはソファの下のラグに座り、ストレッチを始めた。首、肩周り、腰、背中をほぐし、股関節の柔軟をして、仕上げに足の裏とふくらはぎのオイルマッサージを入念に行う。
 ふと目の前にあった男の足が気になった。わざわざじっくり見たこともなかったが、己の足よりずいぶんと毛深い。毛並みを整えるように上から下へなでると、いきなり触れられて驚いたのか、ロイは本を横に置いた。
「何?」
「ちょっと毛をきれいにしてました」
 至極真面目な顔で、リザはそう答えた。
「ブラッシングできそうですね」
「いや、そんなに毛深くないだろう」
 さほど毛深い自覚もなかったロイは、怪訝そうに眉根を寄せた。
 士官学校は寮生活だったし、戦場でも、なんなら今でも演習のあとなどに大勢で風呂やシャワーに入ることはよくあった。いちいち裸を恥ずかしがってもいられないため目にする機会も多く、わざわざじっくり見たりはしないが、ロイは決して毛深い方ではない。
 まあ女の足ほどすべすべはしてないけど、と思い、ふと気づいた。
「男の生足がそんなに珍しいかい?」
「言われてみればちゃんと見たことなかったかもしれません」
 リザはそう言った。
 納得した。そしてちょっと優越感に浸る。
 裸の足を絡め合うほどの仲になった男はいないということか。
 上機嫌なロイをよそに、リザはロイの毛繕いに余念がなかった。そのうちオイルマッサージに使っていたオイルを手にとってふくらはぎを触り始める。
「楽しい?」
「楽しいです」
 ロイの右足が充分に潤ったことに満足して、リザは今度は左の脛を触り始めた。同じようにすね毛を整え始めたが、違和感に手を止めた。
「大佐? ここ、血が出てますよ」
「ん? どこ?」
「ここです。どこかにひっかけたんですか?」
「いや、別に。……いや、そこか。そういえばさっきかさぶたを剥がした」
「は?」
 リザは顔をしかめた。
「なんで剥がすんですか。血が出てるってことは無理やりはがしたんですよね」
「かゆかった」
「バカですか。もう」
 そう言ってリザはロイの脛に唇をつけた。
 ちゅうっ、と傷を吸って、血を舐めとる。
「薬とってきます」
 一連の動作をなんのためらいもなくやってのけると、リザはぱたぱたと薬箱を取りに行ってしまった。
 残されたロイは突然のキスに呆然としたまま、リザの背中を目で追った。




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